可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「無視すんなって。『ぼっち』になりそびれたの、そんな気に食わないわけ?……おまえ、わりに可愛いとこあんのな」
これみよがしに囁かれて、お腹の底がかっと熱くなった。
「うっせえ。渚、黙れ」
「お。ニカがやっとこっち向いた」
すごんでみせても渚はビビるどころかますますたのしそうな顔をする。
あたしをいじっておもちゃにしてる、そんな顔だ。
「………うぜぇしッ!」
お尻に敷いてたクッションを至近距離で投げつけてやる。
けど反射神経のいい渚は、それを軽く手で払って叩き落した。
にやにや上機嫌に笑っているその顔が、憎たらしくてたまらない。
「相変わらず乱暴だよな、お前。しかもすげぇ怖ぇ顔だし」
「てか渚、さっきからその薄ら笑い、キモいんですけど?」
「キモくて結構。今すげたのしいからな。動揺してるおまえ、正直今までで一番そそる」
キスしてこようとしたからそれを避けようとすると、渚が両肩を掴んでくる。
その勢いにあっけなくフローリングの上に引き倒されると、被さってきた渚が勝手に奪うようなキスをしてくる。
細身だけど長身でしっかり筋肉の乗ってる渚と、平均身長よりちょい高め程度のあたし。
体格差ゆえに受身にならざるを得ないでいると、渚はご満悦の顔。
首を捩ってむりやりくちびるを離して吐き捨ててやる。
「………なんなの。マジむかつくんだけど」