可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「……知りたいんだ?」
「そんなもったいぶるようなことか?」
興味ないふりを装うためか、渚は淡々とした口調。
でもご機嫌を取るようなキスなんてしてくるからバレバレだった。
渚はあの日、図書室であたしと七瀬由太に何があったのか、気になって仕方ないらしい。
「あいつが『キスさせろ』っていってくるから『いいよ』って答えただけ。べつにたいしたこと話してない。たぶん七瀬から恨みは買ったと思うけど」
「……おまえさ、そんとき由太にモーションかけたとか?」
「はあ?」
「なワケねぇよな。……けど由太のヤツ、いつもは無駄に周りの空気に合わせようとするタイプなのに……」
渚はらしくなく、少し苛立つような困惑したような顔になっていた。
「今日のLHRみたいな場面で、自分から名乗り上げるようなキャラじゃねぇのに。なんで急に『ぼっち』に行く?って、全然意味わからん」
「七瀬本人に聞けばいいじゃん。あたしだって意味わかんねぇし」
「まあそうなんだろうけど……」
めずらしく渚は言葉をにごす。
「まあいいや。それはともかく、HRデーどこ行く?」
渚がマジっぽく聞いてくるから、あたしはたじろぎそうになった。