可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「べつに?クラスで喋ることないだけで、いつでもこんな感じだけど?」
これは強がりじゃなく、本音。
あえて面倒起こすことはしたくないけど、今更クラスに溶け込もうとか、無害に見えるようにしようとか、そういう努力をするつもりはない。
「………それにさ。『もっと上手に動かせるように』って、つまりはキスさせてあげてもいいけど、その代わりちゃんと口説けって俺に言ってる?」
「何それ」
七瀬由太らしくない言葉。
「相変わらず七瀬くん、発想キモいし」
小馬鹿にするようにせせら笑ってやると。
「……どうせ俺はキモいよ」
七瀬は不本意そうにすこし顔を歪める。その不貞腐れたような顔が、やっぱり気の毒なくらい可愛い。
七瀬由太と会話してくうちにはっきりしてく。
-----------これがあたしだ。
可愛げなんて1ミリもなくて。
したたかで、性根の腐りきった、キラワレモノのビッチ。
それがあたしの本性だ。
他人に振り回されるなんて、あたしの柄じゃない。