可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
テレビで華やかな顔を見せてるうちのババアは、実は常に人から注目されて羨ましがられていないと気が済まない、自意識と虚栄心の塊みたいな女で。
ある時期までのあたしは、ババアのきらびやかな日常を彩るためのただのパーツのひとつにすぎなかった。
ババアにとってあたしは娘ではなく、連れて歩くのに見栄えする、ペットか着せ替え人形みたいな存在。
エステでの脱毛も、あたしが中学に入学したとき、美容が命のババアが『中学生になったら女の子のたしなみよ』と得意げに言って勧めてきた。
中学生にしては贅沢なことに、あたしはババアのエステ店に何度も通わされ、脇や手足に生えてる無駄な毛はほぼすべてきれいに処理された。
あたしのためではなく、『白鳥えりこの自慢の娘』って看板を背負うために。
当時のあたしは頭のてっぺんから爪先まで、トリミングに出される子犬のようにババアに管理され、手入れされていた。
その腕に山根が無遠慮に触れてくる。
「うっわ。やばい。見た目以上に超つるっつる。何これ、何この感触。やばい、男大喜びじゃん、この肌!!」