可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「………ちょっと山根さん、声大きいよ」
あたしの腕をさわりまくってる山根に、七瀬がすこし気まずそうに注意する。
「でもさ、由太くんまじすごいんだよ。感動ものだから!触ってみたらわかるって。ってか崎谷っちに触らしてもらいなよ。ニクちゃんもさ、ほら」
山根はあたしの了解も得ずに、勝手にあたしの腕を男子ふたりの間に突き出す。
あきらかに戸惑ってる七瀬由太とニクちゃんは、けれどぐいぐいあたしの腕を押し付けてくる山根の勢いに飲まれて遠慮がちに指先を伸ばしてきた。
あたしの腕に触れた途端、息を飲むように七瀬の喉が上下した。
「………ほんとだ。崎谷さん、すごい肌きれいかも」
「でしょでしょ?ほらニクちゃんも」
山根に言われて、触れる寸前でためらっていたニクちゃんの、ちょっとずんぐりしている指があたしの皮膚を撫でてきた。
「うお」
ニクちゃんはなぜか悲鳴みたいな声をあげた後、あたしの腕に触れたまま顔を赤くして固まってしまう。