カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「貴方が私の前に現れたりするから…逸希が来なきゃ、全部上手く行っていた。今頃はこの私が新規事業部に異動していた・・・」



「莉…那!?」



「出て行って下さい!!」


「俺は今でも…」


「一夜限りだと言ったでしょ?私にとって逸希は幼なじみでしかない」



「それがお前のキモチか?沢木部長がスキ…なのか?」


「別に・・・」



自身の都合で私を切り捨てた沢木部長に未練なんてない。


「暫く、誰とも付き合う気はない。皆に訊かれたら、婚約解消したと言って下さい」



逸希は何も言わず、床に落ちたリングを拾い上げて踵を返した。


「莉那はこの仕事がスキなんだな」


「そうよ」


オトコはもういい。今は仕事に集中したい。


逸希の背中には落胆の色が見える。重苦しい足取りが気になったが、今の私には逸希に嫉妬しか沸いて来なかった。
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