カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「そうよ。私も逸希の面影を追っていた…」


私の心の中にはいつも逸希が潜んでいた。


逸希の言う通り、私達はお互い、カラダの一部のような存在だった。
絶交され、逸希の居ない日々の物足りなさは半端じゃなかった。


「他のオンナに面影を追うのはもう止めた。俺はお前を見ている」

私は沈黙して、彼の言葉を訊いた。



「でも、当分は恋愛する気ないんだよな・・・」


「逸希・・・」


逸希の切ない声が私の心を揺らす。沢木部長との恋愛には未来が見えなかった。


逸希との恋愛には未来が見える…



「恋愛する気ないんなら、結婚しよう」


確かな未来が逸希の言葉の中に存在した。


「でも、私達は社長に婚約解消したと言ったばかり…」


「そうだな。当面は内緒で付き合うしかないな・・・」






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