カモフラージュ～幼なじみ上司の不測の恋情～

「一度、『星凛堂』さんのCMの仕事に携わったコトがあるだけだ・・・」


「へぇー。凄い」


「金も出すけど、口も出す。ともかく、あそこはうるさかった」


「苦労したんだ・・・」


ニャーと私の膝に珠子が乗って来た。


「化粧品業界は戦国時代だけど…『星凛堂』さんは別格だよな…」


逸希は急に表情を沈鬱にさせる。


「難しい…」


「何が？」


「化粧品業界の参入だよ。ウチは食品で化粧品を作る。最初は注目されるけど、問題はその後だよな」

逸希は悩ましげに腕を組んで考え込んだ。


「お前は『星凛堂』の化粧品を止めて、ウチの化粧品使いたいと思うか？」


「それはやはり…商品が肌に合うかどうかの問題で…でも、慣れ親しんだ愛用の化粧品を止めるのは覚悟がいるかも」


「そうだよな・・・」