カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「私は遊佐課長のようにモテた経験はありません」


「樋渡係長?」


「恋愛遺伝子と言うのはご存知ですか?遊佐課長」

「恋愛遺伝子?」

「MHC…主要組織適合性複合体遺伝子のコトです。これは人の相性を左右する遺伝子らしいです」

人の相性ね…さすがは理工学部卒の理系男子。

「どうやら人は自分とは違うMHCのタイプに惹かれるようです」


「そうですか…」
俺と莉那もそのMHCが違うと言うコトか。

「私はどうやら…高木さんに惹かれているようで・・・」

樋渡係長の頬がほんのりと赤くなった。


「あ、そう言うコトですか…」


樋渡係長は高木さんのコトを…回りくどい言い方するなよ。


「恋愛経験の乏しい私には…どうすればいいのか…判らなくて…」


樋渡係長は仕事は器用にこなしているが、恋愛は奥手の素振りを見せていた。


人の恋路を手伝う余裕などはないが。


樋渡係長と上手く行けば、高木さんの仕事に対する姿勢も変わるかもしれない。


「俺に任せて下さい!樋渡係長」


「遊佐課長?」


「俺が高木さんと上手く行くようにバックアップします」


恋のキューピット役なんて柄にもないけど、部下の為に一肌脱ぐコトにした。

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