カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「…俺は莉那に会いたくて…来たんだ。なのに、急に神戸出張が入って、寝るのも惜しんで仕事を終わらせて来たんだよ」


「仕事帰りってコト?」


「そうだよ」


逸希は大きな欠伸をして昔と変わらない穏やかな笑みを浮かべた。



「逸希、忘れてない?貴方の方から…幼なじみ解消したコト」


「忘れてないさ」


「…街角で偶然会っても無視しろと言ったのは逸希でしょ?」


「そうだな…でも、俺の方がお前を無視出来なかった…それだけだ」



「・・・」


逸希は携帯の灰皿に吸殻を押し込めた。



「あの頃の俺は臆病者だった。幼なじみの関係ではもう満足出来ないクセに。自分のキモチを伝えられず…でも、伝えれば、もう幼なじみではいられない。…そう思って…自ら幼なじみを解消した」

臆病者?

逸希のキモチって何?


「逸希は何が言いたいの?」


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