カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「私達は不器用な人間です。これからも色々な壁にぶつかるコトも多いと思います。どうかその時には皆様のお力添えをよろしくお願いします」


本当に私達は不器用だ。


不器用だからこそ、遠回りした。


そして、ようやくこの日を迎えたのだ。


「最後になりましたが、皆様のご健康とご多幸をお祈り致します。私のご挨拶とさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました」



列席者達からの割れんばかりの拍手が起こる。


私はみんなの拍手で感動して涙が零れた。

隣の逸希がハンカチーフで私の涙を拭いてくれた。

私の涙を拭く逸希の色素の薄い瞳にも薄っすらと涙が滲んでいた。

この日を迎えるコトが出来たのは私と逸希だけの力じゃない。

私達は皆に支えられて結婚に漕ぎ着けた。



―――――本当にありがとう…皆


私を29年間育ててくれたお父さんとお母さんにも感謝したい。











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