カモフラージュ～幼なじみ上司の不測の恋情～

「・・・」


私は短い溜息を吐いて、椅子に座り込んだ。


部長からプレゼントされた薬指に輝くサファイアのリングを眺める。


社内に噂が流れているなら、今更カモフラージュしても…無駄な努力だと思うけど。


私はコーヒーを飲もうとコーヒーサーバーが常備されている給湯室に足を運んだ。


「最近…チーフ…薬指に指輪をしてるけど…沢木部長のプレゼントかしら？」


「何知らないの？田中さん…あれは最近、付き合い始めた元幼なじみの彼氏からプレゼントらしいわよ」


「えっ！？チーフに幼なじみの彼氏が居るの？？」


「らしいわよ・・・」


私は給湯室から漏れる会話に耳をそば立てた。


そう言えば、指輪を嵌めた初日に隣の企画課の柏田さんに目ざとく見つけられ、プレゼントの主を問い質されたコトを思い出した。


柏田さんのおかげで上手く誤魔化すコトが出来そうだ。