カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「不倫は世間的に許される恋愛じゃない。沢木部長は頭のいい人だ。カモフラージュまでしている。奥さんと子供を捨てて、莉那と結婚する意思はないと思う」


「わかっている。私だって部長の家庭を壊してまで一緒になりたいとは思っていない」


私と沢木部長を繋いでいるのは唯の情。

沢木部長が私に情を抱いているかは不明。私以外にもオンナの影を見ていた。

私は何番目のオンナだろう?

気づかない振りをして、彼の都合に合わせていた。


「だったら、別れた方がいい」
逸希の言う通り。

思い切って別れた方がいいかも。でも、別れを決めるのは私自身だ。

「別れを決めるのは私自身よ。逸希じゃない」


「そうかもしれないけど、傷つくのはお前だ。見て見ぬ振りは出来ない!」


それは幼なじみの好だけ?13年間も音沙汰なく、急に私のコトがスキだと言って一夜の限りの関係を結んだ逸希。

逸希には彼女が居ると言うのに、過剰に私のコトを気に掛ける彼の思わせぶりな態度に腹が立った。


「幼なじみだからと言って、ズカズカと私の中に入って来ないでよ」

「莉那?」


「今はそっとしておいて・・・」



「判った。資料には目を通しておいてくれ。植野チーフ」


「承知しました。遊佐課長」




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