カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
私は椅子に深く腰を下ろして、大きく深呼吸する。


ついカッとなって逸希に辛く当たってしまったが。逸希の声に私のコトを心配するような響きを感じて嬉しさがこみ上げたのも事実。


彼女が居ても、私を心配して忠告してくれる逸希の優しさ。


13年前と変わっていない。



私は彼の置いていった資料に目を通していたが。


霞んで見えなくなってしまった。


―――――どうして涙が流れるのか自分でも判らない。



これ以上泣いたら…アイメイクが崩れる。


私はメイクポーチを片手に持って、執務室を出てパウダールームに駆け込んだ。


涙は止まったが。


「完全に崩れちゃってるよ・・・」


今朝はいつもよりも濃い目のメイクをして、寝不足で悪い顔色を誤魔化していた。




















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