カモフラージュ～幼なじみ上司の不測の恋情～

「こんな形で君に裏切られるとはな。俺はそれなりに君と真剣に付き合って来たつもりだ」


「沢木部長・・・」


「新規事業部には君を異動させない。遊佐課長も同様で共に仕事はしたくはないが…藤堂社長の後光がある以上は仕方がない」



「待って下さい！！私達の婚約は偽装だと…」


「偽装？本気でそう思ってるのか？そのダイヤのリングが全てを語っている。俺は君に別れを告げられる前に別れる！」


「沢木部長！？」


「話は終わりだ」


沢木部長は私の言葉に耳を貸さず、一方的に別れを告げた。



「寿退社おめでとう…植野チーフ」


部長の皮肉な声が私の鼓膜に嫌な響きを残した。