君と2回目の恋を

ーーガチャ


不意にドアがひらく音がした




俺たちが立っているのは夢華の家の前の道路


当然、俺も夢華もドアなんか触っていない




近所を見回したがどの家も玄関は閉まったままだ



それに音はすぐ近くで聞こえた





夢華の家の玄関に目を向ける



見知らぬ男がちょうどでて来た



「あ……」


そいつを見た途端曇った夢華の顔

そして少し俯く



明らかにあいつのことを好いていない




怪訝に思って夢華に聞いてみる

「だれあいつ。」


「あれはさっきはな「あ、夢華ちゃん。こんばんは」



夢華の答えに男が声をかぶせてきた。



笑顔で夢華に手をふっている





だれだこいつ



夢華に馴れ馴れしいのが気に入らない




「あ、桐さん。……こんばんは」


「うん。今日もお邪魔しました。……ん？そっちの人は？」



「あ、あぁ。んと、えーっと」

「夢華と付き合ってます。椿蓮斗です」



夢華が言い淀んでいるうちに名乗る





桐と呼ばれた男は少し目を見張ってから笑顔を作った




なんだ？


一瞬だけど目に変な光が見えた





……なんかこいつおかしい




しばらくの沈黙




「…そうか、そうだよな。夢華ちゃんも年頃だしな。うんうん。じゃあ僕はこの辺で」



勝手に納得して桐は軽く会釈して俺たちの横を通り過ぎて帰って行った






「はぁ。また来てたんだ桐さん」

「だれあいつ」



さっきの疑問を口にする




「桐大雅(きりたいが)さん。さっき話したママの再婚するかもしれない人」





なるほど。夢華が顔を曇らせるわけだ





「いい人なんだけど好きになれなくて」


苦笑気味に夢華が笑う




「夢華、あいつには気をつけろ」



怪訝そうな顔をする夢華


「どういうこと？嫌な人じゃないよ」




「それでもだ。……大丈夫だ。なんかあったら電話しろ。んじゃな」



「うん。ばいばい」





ちょっと笑顔になった夢華をみて少し安心した