君と2回目の恋を
階段を上る脚が重い


あの夢を見たからだろう


いつも以上に屋上へ向かう階段が長く感じる



「蓮、昨日はどうだった?」

「いや、なにも」



何度も繰り返した会話を今日もする




夢華が消えてから2年


ずっと探しているのに手がかりすら掴めない




話している間も脚を動かし続ける


そんなうちに屋上に続く扉の前に来た




ドアノブに手をかけ腕に少し力を入れる


ギシギシと音を立てて開く扉は、入学当時から何ひとつ変わっていない




ふっと顔を上げると、澄み切った青空が見えた


時折、風にのって舞っている桜の花びらはあいつの顔を思い出させる



(あいつと会ったのは春だったな)



俺はいつになったらあいつと2回目の春を迎えられるのだろうか


もしかしたらもう来ないのかもしれない

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