君と2回目の恋を

「あなた誰？」




そう紡いだ声は2年前と寸分も違わず



怪訝そうな顔は記憶にあるものより少し大人になっていた



でも、確かにこいつは




「夢華っ……！」




ばっと立ち上がって抱きしめる



夢華が見つかった


そのことで頭がいっぱいだった俺に夢華は言った


随分と細くなっている



ほんとに何があったんだ？






「ちょっと離して！あなた誰？
急になんなの！？」





「は、？ふざけてんのかよ」




雷に打たれたようだった



雨音がだんだん遠のいていく




耳の奥で自分の鼓動の音が響き出す





「ねぇ！離して」



身をよじって俺を振りほどいた夢華はそろそろと後ずさった



冗談なんか受け止められるほど今の俺に余裕はない



けど



夢華の目を見たらわかった


そこにあったのは

困惑した目




なんだよその目




「あなた誰？ここは私の家なんだけどなにか用？」





鼓動の音がうるさい


雨音は全く聞こえない




なのに夢華の声は鮮明に聞こえて





スゥッと手足の先が冷たくなる



雨の寒さではない震えが背筋を駆け上がっていった




「覚えて、ない……？」