君と2回目の恋を
「………これで全部よ

私が知っていることは全部話した」



真奈ちゃんは、淡々と感情が見えない声音で全てを話した




誰も声をださなかった

というよりだせなかった




夢華の過去はあまりにも壮絶で

なんて言ったらいいのか分からなかった





1つだけはっきりしているのは、私がいま、怒ってるってこと



夢華を苦しめた桐への怒り

夢華を護れなかった自分への怒り




「よかった」





え?


「夢華、今なんて」


なんでよかったなの?

なにがよかったの?



2年も辛い思いして、ボロボロになって

記憶まで失ったのに




「よかった、って言ったの


私はずっと桐が父親だと思ってた
あんな奴と血がつながっていると思うと吐き気がして、自分が物凄く汚い存在だと思ってた

でも、桐はただの再婚相手で
ホントのお父さんは別にいるんだってわかったから」




「夢華……」




なにか言ってあげないと


そう思うのに、喉がグッと詰まる




「あの、えっと」




いつもおしゃべりすぎとか言われてるのに




今はなんて言っていいかわからない





「いいよ、何も言わなくても


変に励まされても困っちゃうから」




「ごめん」


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