これが恋というものかしら？~眼鏡課長と甘い恋～【完】

「はい、ビールです。あっ、たこ焼き食べますか？」

そんな俺の行動の意味など少しも考えずに、いつも通りマイペースに話を進める。

「あ、見て下さい。あの花火の色。綺麗ですね」

今度は夢中で夜空を見上げ始めた。手にはたこ焼きを握り締めたままだ。

「綺麗ですね。でもそのたこ焼き落とすといけないので一度置きましょうか？」

「……あ、はい。すみません。こんなに楽しい花火初めてで」

「それはよかった。私も初めてですよ。こんなに楽しいのは」

「そうですよね！楽しいですよね！」

彼女が俺の言った言葉に込めた意味を理解してくれる日はいつかくるのだろうか？

無邪気な彼女を少し恨めしく思う。

それと同時に、このまま変わらないでいてほしいと思う。

自分の中の理不尽さを感じながら、俺は花火を見る彼女を見つめていた。