これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「それでは、仕切りなおしてかんぱ~い」
花火を堪能した彼女が嬉しそうに、声を上げた。
結局飲み始めたのは、花火が終わってしまってから。缶ビールは生ぬるく、たこ焼きはすでに冷めてしまっていた。
それでも嬉しそうに食べる彼女とふたり、屋台で買ったものを食べる。決して褒められるほどおいしいわけじゃない。けれども俺のお腹と心を満たすには十分だった。
ふと彼女が思いだしたように話はじめる。
「どうして高浜さんは秘書になったんですか?」
「どうしてって……?」
「実は総務の先輩に聞いたんです。高浜さんは司法試験にパスしてるって」
どこにでもおしゃべりな人はいるものだ。別に隠しているわけでもない。
「確かに、まだ新しい試験になる前でしたので大学在学中に合格しました」
事実だけを淡々と述べた。
「すごいですね……。でもなぜ検事や弁護士にならなかったんですか?」
おそらく誰もが尋ねる質問だろう。彼女が聞いても不思議ではない。
「……どういえばいいんでしょうか。弁護士の高浜勇矢になりたくなかったんです」
「弁護士の高浜さん?」
理解できずに説明を求めている顔だ。
「私自身として生きたかったんです。付加価値で判断されたくなかった。うちは両親が弁護士なんです。だから何の疑いもなく弁護士になることだけを考えてました」
彼女は小さく頷いた。
花火を堪能した彼女が嬉しそうに、声を上げた。
結局飲み始めたのは、花火が終わってしまってから。缶ビールは生ぬるく、たこ焼きはすでに冷めてしまっていた。
それでも嬉しそうに食べる彼女とふたり、屋台で買ったものを食べる。決して褒められるほどおいしいわけじゃない。けれども俺のお腹と心を満たすには十分だった。
ふと彼女が思いだしたように話はじめる。
「どうして高浜さんは秘書になったんですか?」
「どうしてって……?」
「実は総務の先輩に聞いたんです。高浜さんは司法試験にパスしてるって」
どこにでもおしゃべりな人はいるものだ。別に隠しているわけでもない。
「確かに、まだ新しい試験になる前でしたので大学在学中に合格しました」
事実だけを淡々と述べた。
「すごいですね……。でもなぜ検事や弁護士にならなかったんですか?」
おそらく誰もが尋ねる質問だろう。彼女が聞いても不思議ではない。
「……どういえばいいんでしょうか。弁護士の高浜勇矢になりたくなかったんです」
「弁護士の高浜さん?」
理解できずに説明を求めている顔だ。
「私自身として生きたかったんです。付加価値で判断されたくなかった。うちは両親が弁護士なんです。だから何の疑いもなく弁護士になることだけを考えてました」
彼女は小さく頷いた。