これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「私は……すみませんでした。きちんと面倒を見ると約束したのに」

 改めて申し訳なく思ったのか、彼女の瞳に涙が滲んだ。

「仕方がありません。脱走癖があるのは私も知っていたのに、それを放置していたのですから。私の責任でもあります」

「そんな……あの」

 言いづらそうにこちらを伺う。

「あの…またクロに会わせてもらえますか?」

 なんだそんなことか……。こんなに猫のことで必死になっている彼女に「ダメだ」なんて言えるわけがない。

「あなたに会えなくなるとクロが寂しがります。ぜひまた遊んであげてください」

 俺の言葉に彼女の表情が明るくなる。安堵した様子でほっと息を吐いている。

 そんな俺たちの会話を、乾燥機の音が遮った。

「できたみたいですね……着替えてきます」

 彼女はそう言うと、洗濯機のある脱衣所へと消えていった。
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