これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
……今はそんなことどうでもいい。

 俺は悪いと思いながらも、どうにか洗面器とタオルのありかを探り氷水をつくり十分な時間を置いて寝室へと戻った。

 すでに彼女は寝入っている。起こさないように冷やしたタオルを彼女の額に乗せた。

「……ん」

 苦しそうに顔をゆがめた。しかしすぐにそのまま眠ってしまう。

 その顔をみて少し安心した俺も出張の疲れが出たか睡魔が襲ってきた。目が覚めたら彼女の体調が少しでもよくなっているようにと願う。

 そしたら言わないとな……。いちいち断りなく寝室に入れる関係になりたいと。




 かさかさと衣擦れの音がする。

「やめなさいメグ……くすぐったい」

 また俺のベッドに入ってきたのか? もう餌の時間かだったか。

「……はまさん……高浜さん」

 ん?いつから名前を呼べるようになったんだ。

 目を開くとそこにあるのは猫の姿ではなく、驚いた顔の二宮さんだった。

「あ、俺あのまま……」

 眠ってしまっていたみたいだ。眼鏡も外さずに。

「ここ跡が付いてます」

 彼女に指摘されて気が付いた。

「昨日はありがとうございました。それよりさっき私のことメグって呼びました?」

 カッと顔が赤くなるのがわかった。まさか俺がそんなこと口走っていたのか。

「気のせいじゃないのか? それより体調は?」

 まだだるそうだが昨日の夜に比べると体調はよさそうだ。
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