これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「おかげ様で元気になったみたいです」

「それならよかった」

 指を伸ばし彼女の額で熱を計る。一瞬とまどった様子を見せた彼女は俺のされるがままだ。

「熱も下がったみたいだな。よかった」

 そんな俺の様子に目の前の彼女は戸惑っている。

「ご迷惑ばかりかけてすみません。あの……」

 彼女は言いづらそうにしながらも言葉をつづけた。

「高浜さんはどうして私にここまでしてくれるんですか?」

 単純に疑問に思っただけかもしれない。でも俺は彼女が欲しい答えと俺の伝えたいことが一致していると思った……そう思いたかった。

 俺はぐっと彼女を自分の方へ引き寄せた。

 一瞬体をこわばらせた彼女だったが、抵抗はしない。俺はそのまま彼女の真剣なまなざしに向かい合う。

 そして何かにとらわれてしまったかのように、彼女の唇を奪った。

 ビクッとした彼女の体を優しく、でも強く抱きしめた。花火のとき以来、二度目の抱擁だったがあのときの無我夢中なときと違って彼女の柔らかさや小ささ、そして温かさが俺に伝わってきた。

 何度か角度を変えて交わしたキスはだた唇が触れ合うだけの……まるで中学生のようなキスだ。
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