これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
 青いパッケージの微糖と書かれたコーヒーのボタンを押す。ガコンと音を立てて落とされた缶を取り出す……取り出すはずだったのに、引っかかって出てこない。

「どうした?」

「なんか変な向きになってて、ひっかかって出てこないんです」

 なんとか取ろうとするがうまくいかない。

「俺がやろうか? これ持ってて」

 そう言って渡された二つ折りの財布。しかし私はそれをうっかり落としてしまった。

「あ、ごめんなさい」

「別にかまわないよ。ちゃんと拾ってくれたら」

 勇矢さんは取り出せない缶と格闘をしながらそう言った。

 落としたときに開いてしまった財布から、免許証が見えた。
 
 ゴールド免許なんだ……。たしかに運転上手だったな。

 そんなところに感心していたが、それよりも驚いたのは生年月日を目にしたときだった。

 九月二十日。今月だ。

「勇矢さん、もうすぐお誕生日じゃないですか!?」

「あ、そうだな」

 缶コーヒーを取り出して、私に渡してくれた。

「そうだなって……どうして言ってくれなかったんですか?」

 思いが通じあったばかりとはいえ、好きな人の誕生日を知らないなんて。
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