これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「三十超えた男は、そこまで誕生日にこだわらないんだよ」

「勇矢さんがこだわらなくても、私がこだわります」

 思わず頬が膨らむ。

「あはは。新鮮だけど、そんな怖い顔するなよ」

 ……そんなに怖い顔してた?何でも顔に出てしまうこと自覚してたのに。

「あの、お誕生日のご予定は?」

「あいてますよ。もし、他の用事があったとしてもあんなに怖い顔されたら、全部キャンセルするさ」

 からかうような言い方にまた頬を膨らませそうになって思いとどまった。

「コホン、ではその日は一日私に下さい。お誕生日お祝いさせてください」

「よろしくお願いします。……楽しみにしてる」

 さっきのからかうような笑顔ではなく、柔らかくてとろけるような笑顔を見せてくれた。

 こんな顔付き合うまでは知らなった。きっと会社の誰も……もしかしたら常務でさえ、知らない顔だろう。

 その笑顔を見られただけで、さっきからかわれたことなどすっかり忘れてしまった。

「ほら、コレ。話してたらコーヒー飲む時間なくなったぞ」

 公園内にある時計をみると、そろそろ会社に戻った方がいい時間だ。
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