これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「んっ……」

 重い瞼がなかなか開いてくれない。瞼もそうだけど、身体も重い……とくに下半身が。

 あ……私、昨日勇矢さんと……。

「おはよう」

 柔らかく優しい声が、私を現実へと引き戻してくれた。

「おはようございます」

 至近距離で彼の顔を見るのが恥ずかしくて、かかっていたシーツをたくし上げて、自分の顔を隠した。

「今さら、かくれんぼしても遅いよ。昨日はいろんな恵の顔をみたんだから」

 シーツの中で聞く彼の声は、どこか私の行動を面白がる様子がわかる。

 色んな顔って……それって……

 昨日の夜のことが思い浮んで恥ずかしくなり、思わず足をバタバタとしてしまう。

「いつまでも隠れてないで、出ておいで」

 そう言われてシーツからゆっくりと顔を覗かせると、勇矢さんの優しい唇が私の額にキスをした。

「朝ご飯食べよう。あれだけ頑張ったんだからおなかすいただろう」

 頑張ったとか言わないで。でも正直お腹はペコペコだ。

「俺が準備してる間にゆっくりシャワー浴びておいで」

 そう言い残すとベッドから出て、彼はキッチンへと向かった。

 きっとそのほうが、みの虫みたいにシーツにくるまっている私が、外に出やすいと判断してくれたに違いない。
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