これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】

「すみません。お茶屋の方がこちらの茶葉が一番おいしいと」

「美味しいからって、こんなに高いものどうするのよ?」

「お客さまにお出しすると伺ったので……」

 責められている子は、IDカードの色で派遣社員だと分かる。

「社長クラスが飲むような茶葉かってどうするのよ?ここは取引先ぐらいにしか出さないんだから、そこまでいいお茶じゃなくていいの!どうせ探すなら安くて美味しいのを探しなさい」

 そろそろ止めてあげようか。

 少々おせっかいだとは思ったが、咳払いをしようと息を吸った……。

 ところで、息が止まる。

 うつむいていた派遣社員が、顔をあげる。

 キレイなボブカットの黒髪の中から彼女の顔が見えた。

あの時の……公園の彼女だ。

驚いてどれくらいの間息を止めていただろうか。

中から、総務課の社員がイライラしながら出てきそうになったときに咄嗟にその場を離れて、身を隠した。

その場で俺は、浅い呼吸を繰り返して気持ちを落ち着けた。
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