これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
 さっきのことが気になって、お昼の休憩にメールを入れてみる。忙しい彼のことだからすぐに返事が返ってくるわけじゃないのは理解しているが、それでも昼休みの間中、何度もメールチェックをした。

 リフレッシュルームでサンドイッチをかじってみるが、妙な胸騒ぎがして喉を通らない。

 一体、何があったんだろう。私で力になれるなら、力になりたい。

 いつも私は助けられてばかりだ。こんな時彼の悩みを軽くすることくらいできればいいのに。

 鳴らないスマホを見つめて、ため息ばかりをつく休憩時間を過ごした。



 定時に仕事を終えて、スマホをチェックするが、やはり勇矢さんからの連絡はなかった。

 がっくりと肩を落として会社を出る。駅に向かって歩き始めようとした私の目に勇矢さんの姿が映った。

「勇矢さんっ!」

 私が駆け寄ると、向こうも気が付いたようで顔をあげた。その表情はお昼と同じ堅いままだ。

「お待ちしていました、恵さん。少し私にお付き合い願います」

 勇矢さんは私と目を合わせることなく、歩きだす。

「あの、どこに行くんですか? それに……話し方が……」

 どんどん歩いて行く勇矢さんを追いかけながら疑問に思うことを問いかける。

 出会ったころのような話し方、いや……それよりももっと他人行儀な話し方に違和感しかない。
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