これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】

 今、何て言ったの?私の聞き間違いだよね?

「何を驚いた顔をしてるんですか? 私があなたの本当の名前を知っていることがそんなに驚くようなことですか?」

 やっぱり聞き間違いなどではなかった。

 彼は知ってしまったのだ。私が隠していた秘密を。

「どうしてそれを?」

 話したいこと、話さなければいけないとことたくさんある。けれど最初に出てきた言葉はこれだった。

「誰から聞いたとしても、それは大した問題ではありません。そのことより問題なのは、あなたが私に嘘をついていたことではありませんか?」

「私、そんなつもりじゃ……」

 嘘だなんて。彼を騙すつもりなんてなかった。

 ただ純粋に出会って、恋に落ちた。まぎれもなく彼へのこの気持ちは本物だ。

「では、わざとではなく私に嘘をついていたというのですか。そちらの方が性質が悪い。お嬢様の気紛れに付き合わされる私の身にもなってほしいものです」

 今まで向けられたことのない辛辣な言葉に私は、首を振って否定することしかできない。

「気まぐれなんて、私は真剣にあなたと向き合っていました」

 私の必死の言葉にもため息交じりの返答が返ってくる。
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