これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「結局、俺は逃げたんだ……」

 腕の中で眠り始めた、メグを優しく撫でる。

 小さくあたたかい彼女が俺に託したコイツが、俺の傍にいてくれているだけで慰められる。

 彼女を引き留めるなら、まだ間に合うかもしれない。しかし俺は、彼女を彼女の居場所に返すことに決めた。

 彼女が自分の出自について俺に語らなかったことがすべてだと判断したのだ。もし……もし彼女が俺との未来を、人生を考えているのであればいくらでも打ち明けるチャンスはあっただろう。それを俺に言わなかったということは、彼女もその場所に戻るつもりだったということだ。

 今は燃え上がるように、お互いを求めあうのかもしれない。けれど彼女を後悔させないと言い切れる自信が俺にはない。

 彼女のことを思えば……なんてきれいごとだ。ただ自分の弱さに負けた。それだけのこと。俺が傷つくなんてことは許されない。彼女との別れは自分で決めたことなのだから。

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