これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
③愚鈍な俺
それから数日、俺は何もできないままただ日々をこなしていた。
すでに自分の手の届く範囲から彼女が消えてしまった気がして、それと同時に俺の知っている二宮恵から綾上恵へと彼女が変わってしまったような気がしてしまう。
それが彼女の望んでいたことではないとしても、受け入れたのもまた彼女だ。そこに彼女の意思がまったくなかったとは言い切れない。
彼女に会いたいという気持ちは、変わらない。でもそれが彼女のためになるのかどうか考えるとすぐにその場に立ちどまって、一歩も前に進めずにいた。
相変わらずの自分の愚鈍さに、イライラとした感情が募る。
どうして、感情のまま動くことができないんだろうか。
パソコンの画面を見ながら手と止めたままの俺のデスクに、バサッと雑誌が置かれた。
「おい。勇矢……お前これ知ってたのか?」
顔をあげるとそこには、険しい顔をした宗治が立っていた。
「これって……どういうことだ?」
デスクの上にある雑誌を見てみると、遠くから隠し撮りされたような男女のカップルが写っている。そしてそれを補うように高校の卒業アルバムを拡大したものが載せてあり、そこに映っていたのは、まぎれもなく――俺が知っているよりも少しだけ幼い――恵だった。
驚いて声も出ない。
すでに自分の手の届く範囲から彼女が消えてしまった気がして、それと同時に俺の知っている二宮恵から綾上恵へと彼女が変わってしまったような気がしてしまう。
それが彼女の望んでいたことではないとしても、受け入れたのもまた彼女だ。そこに彼女の意思がまったくなかったとは言い切れない。
彼女に会いたいという気持ちは、変わらない。でもそれが彼女のためになるのかどうか考えるとすぐにその場に立ちどまって、一歩も前に進めずにいた。
相変わらずの自分の愚鈍さに、イライラとした感情が募る。
どうして、感情のまま動くことができないんだろうか。
パソコンの画面を見ながら手と止めたままの俺のデスクに、バサッと雑誌が置かれた。
「おい。勇矢……お前これ知ってたのか?」
顔をあげるとそこには、険しい顔をした宗治が立っていた。
「これって……どういうことだ?」
デスクの上にある雑誌を見てみると、遠くから隠し撮りされたような男女のカップルが写っている。そしてそれを補うように高校の卒業アルバムを拡大したものが載せてあり、そこに映っていたのは、まぎれもなく――俺が知っているよりも少しだけ幼い――恵だった。
驚いて声も出ない。