これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「今日まで、散々我慢してたのに……まだ煽るつもりなのか……」

 私を見る、彼の瞳の中に熱い滾りを感じる。

「私、そんなつもりじゃ……」

「今さら言い訳しても遅い。今日は恵の全部……感じたい」

 そんなこと言われて“ダメ”だなんて言えない。

 私だって……同じ気持ちだ。

 彼の唇が私のそれを捉えた。溶けそうなほど熱いキスは、彼の思いを私に伝えてくれる。

 ニットのワンピースがたくし上げられて、そこから大きな男らしい手が私を翻弄しようと、肌の上を滑る。

 それだけでも私の体は素直に反応してしまい、恥ずかしい声がキスの合間から洩れてしまう。

「我慢しないで……もっと恵を俺に見せて」

 勇矢さんの手で私の身に着けていたものが、一枚ずつ剥がされていく。

 今、彼の目の前にいるのは何も身に着けていない“私”だ。熱い指先と、舌で心まで裸にされてしまう。

 彼のこと以外何も考えられない。追いつめられるような感覚なのになぜか幸せだった。

「あ……っん、もう……これ以上は……」

 髪が乱れるのも気にしないで、私は首を振った。

「ん……俺も限界」

 ちょっと苦しそうな顔をした勇矢さんが目に入る。でもその顔も好きだと思う。

……でもそんなことを考えていられたのも、ここまで。

 その後の私の記憶は曖昧だ。覚えているのは――勇矢さんの熱い体温と時々余裕のない息遣い。それと私を慈しむように抱きしめてくれた強い腕だった。

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