これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「なんですか?言いたいことがあるならおっしゃってください」
努めて冷静に切り返したが、それがどれぐらい効果があったのかはわからない。
「まぁ、いいんじゃないの? お前もそろそろ恋のひとつやふたつしてみたら?」
手元の書類を整えながら宗治が言う。
本当に余計なお世話だ。
「常務のご心配には及びません。それよりもご自身の身の振り方を考えてください」
「はいはい。お前は本当に説教臭い」
ぶつぶつ言いながら目の前のパソコンに向かって仕事を始めた。
その姿を確認して「失礼します」と声をかけて常務室を後にした。
常務室の隣にある秘書課に戻り、パソコンを立ち上げた。
目を通さなければいけない資料が、山積みだ。
少しでも触ると雪崩をおこしそうだ。
商談の資料の確認もしておかなかればいけない。出張の日程の調整も……。
しかしそれらの仕事が全く処理できない。
目の前のパソコンの画面に映るのは、エントランスでみた彼女の驚いた顔だった。
なんとか集中しようにも、どうしても彼女のことが気になってしまう。
俺の存在を彼女は認識したんだ。あの表情から俺のことは覚えているだろう。
ほうっておくのもおかしな話だ。
俺はなんだかよくわからない言い訳をして、終業時刻すぐに社員通用口へと向かった。
宗治の「そろそろ恋のひとつやふたつしたらどうだ」という声が聞こえてきたような気がした。間違いなく気のせいなのに妙に意識してしまっていた。
努めて冷静に切り返したが、それがどれぐらい効果があったのかはわからない。
「まぁ、いいんじゃないの? お前もそろそろ恋のひとつやふたつしてみたら?」
手元の書類を整えながら宗治が言う。
本当に余計なお世話だ。
「常務のご心配には及びません。それよりもご自身の身の振り方を考えてください」
「はいはい。お前は本当に説教臭い」
ぶつぶつ言いながら目の前のパソコンに向かって仕事を始めた。
その姿を確認して「失礼します」と声をかけて常務室を後にした。
常務室の隣にある秘書課に戻り、パソコンを立ち上げた。
目を通さなければいけない資料が、山積みだ。
少しでも触ると雪崩をおこしそうだ。
商談の資料の確認もしておかなかればいけない。出張の日程の調整も……。
しかしそれらの仕事が全く処理できない。
目の前のパソコンの画面に映るのは、エントランスでみた彼女の驚いた顔だった。
なんとか集中しようにも、どうしても彼女のことが気になってしまう。
俺の存在を彼女は認識したんだ。あの表情から俺のことは覚えているだろう。
ほうっておくのもおかしな話だ。
俺はなんだかよくわからない言い訳をして、終業時刻すぐに社員通用口へと向かった。
宗治の「そろそろ恋のひとつやふたつしたらどうだ」という声が聞こえてきたような気がした。間違いなく気のせいなのに妙に意識してしまっていた。