これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
なんとも言えない空気がふたりの間に流れた。

意外にも最初に会話を始めたのは彼女の方だった。

「あの……猫ちゃん元気ですか?」

「あ、ああ元気だよ」

俺がそう答えると、嬉しそうにほほ笑んだ。

「そうですか……元気ですか。ありがとうございます」

髪を耳に掛けたあと、一瞬沈黙する。

「ちょっと話をしたいんだけど、いい?」

「あの……はい」

彼女は小さく頷いた。

「じゃあ、食事にでも」

「あ、あの……」

彼女はとたんに、困ったような表情になった。

深くは考えずに食事に誘ったが、まずかったのか?

「ダメでしたら、無理しなくて結構ですよ」

自分では優しくいったつもりだが、どうも冷たい言い方ととられてしまったようだ。

宗治には「堅苦しいしゃべり方」と言われるが、そう簡単には変えられない。

まずかったか……そうは思ってももう遅い。
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