これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「凄い!最近の缶詰ってこんな風になってるんですね」

「最近って、コレ採用されたのずいぶん前ですけどね」

猫の前に猫缶を置くと「ミャー」と鳴いてから食べ始めた

「いただきますが言えるなんて、お前偉いじゃないの」

猫の頭をなでながら彼女がそうつぶやいた。

 別に猫が"いただきます"なんて言うはずないだろ。

いつもの俺ならそんな風に腹の中で思うんだろうけど、なぜか今日はそれをすんなりと受け入れた。

 最近疲れているのが原因だろうか?

 秘書の仕事は大変だ。

 俺のボスの葉山宗治(はやまそうじ)は葉山ホールディングスの次期跡継ぎと言われている男だ。

そんな男の仕事のフォローやスケジュールの管理調整。

 はたまた女性関係のフォローまでしないといけない俺の毎日は、やりがいがあると言えば聞こえがいいけれど毎日が息つく暇なく過ぎて行っている。
 

 だからこういう時間のゆっくり流れているこの状況が、俺の心の若干穏やかにしてくれたのかもしれない。
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