これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
夢中でおにぎりをほおばる彼女に疑問に思っていたことを聞いてみる。

「どうしてそんなに、おなかがすいているのにあの時猫缶を買ったんですか?」

どうせならば、両方買えばよかったのに。

「実はポケットに二百円しか入ってなかったので、おにぎりを買うと猫缶が買えなくて」

恥ずかしそうに頭を掻いている。

 俺ならば間違いなく、おにぎりの方を買ってるな。そもそもこの公園に猫がいること自体に気が付いてないかもしれない。

 お人よし以外の何物でもない。そんな彼女に少し意地悪がしたくなってしまう。

「そんなに世間知らずで今までどうやって生活してきたんでしょうか?大変興味深いです」

「そうですね……、どうにか二十四歳まで生きてこられましたね」

「ふふふっ」と笑う姿はどうやら俺の嫌味を全く感じていないようだ。

「でも、今この瞬間はしっかりと自分の足で立ってます」

ニッコリ笑ったかと思うと「ごちそうさまでした!」と言い、子猫の方に掛けよって言った。俺は食べ終わったごみをまとめて、ベンチから立ち上がる。

チラッとみると、猫を抱きかかえて鼻と鼻をこすり合わせていた。

春の温かい日差しの中、久しぶりにリフレッシュできた休憩時間だった。

たまには、公園で昼を過ごすのも悪くないな。俺はそんなことを思いながら会社へと戻ったのだった。
 
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