これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「ちょっと、あれって秘書課の高浜課長でしょ? なんか話してたみたいだけど知り合い?」

 興奮した様子に驚いた。

確かに知り合いだけど、社内の人間なんだから話くらいしても何もおかしくないと思うんだけど……。

「え~と。前にちょっと受付で。先ほどは挨拶されただけですよ」

「あ~ん!どうしてその時私を呼んでくれなかったのよっ!」

「あの何か用事があったんですか?」

 話の意図がつかめない私に興奮と苛立ちが混ざった伊藤さんは、私の肩を掴んでぐらぐらと揺すった。

「高浜さんってば、あのとおりかっこいいのに社内の人とはほとんど話をしないのよ。もちろん葉山常務は別よ。おふたりは学生時代からのお付き合いだから。でもそのクールなところがたまらなく素敵だって、女子社員の間では話題なのよ。あの眼鏡の奥の瞳に見つめられたいなんて……キャ~」

 ひとりまくしたてる様に話をして、少し赤くなった頬を抑えている。このままではこの場で地団太さえも踏んでしまいそうな勢いだ。

「うらやましいわ~二宮さん朝からツイてたわね」

確かにツイてた。だって高浜さんと会えたんだから。

だけど……。
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