これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「なにか、考え事をしてますか?」

「ひっ!」

 驚いて変な声がでてしまう。そんな私を驚かせた張本人は肩を震わせて笑っていた。

 振り向くとそこには、脳内を占領していた高浜さんが立っていた。

 急に現れるなんて……でも嬉しい。

「急に話かけないでください。驚いてしまいます」

「すみません。では次からはメールで声をかけていいか確認してからにします」

「えっ?」

 驚く私をみて、高浜さんが耐えきれないと言った様子で声を出して笑い始めた。

「……っあはは。冗談ですよ」

「そ、それくらい私にだってわかります」

 恥ずかしく感じながらも、屈託なく笑う高浜さんの表情に目が釘付けだ。

 あのコピー機の一件依頼、久しぶりの会話だ。

 お互いメールや電話をする仲でもない。だから正真正銘あのとき依頼の高浜さん。

 それなのに、ふたりの少しずつ近づいている距離が(もちろん私基準だけど)離れていないことが嬉しい。

 「怒らせてしまいましたか? お詫びと言っては何ですが今日のご予定はいかがでしょうか?」

 ご予定って……もちろん仕事が終わってからの話だよね?それって……!

 期待で胸が躍る。

「あの定時には終わる予定です」

「そうですか、では食事にお誘いしてもよろしいですか?」

 やった!心の中で手をたたいて喜ぶ。

「はい」

 自分でも“満面の笑み”で彼に返事をした。
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