これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
タクシーに乗せられ、連れてきてもらったのは住宅街にある大邸宅だ。

そこは旧大使館として使われていた建物で、今は会員制のレストランとして使われていた。

 夜でも食事をとりながら、ライトアップされた手入れの行き届いた庭を見ることができる。

 そこまで詳しいわけじゃないが、調度品はどれも一級品だ。

「こんな素敵なところ……」

 今までとは格段にグレードが違う……。今日は一体どうしたんだろう?

 その疑問が顔に出ていたのか、高浜さんは笑いながら答えてくれた。

「いつもデートにハンバーガーやラーメンで済ませる男と思われては心外ですからね」

 デ、デート!

 どうしてここに連れてこられたのかを聞いていたはずなのに、私の心は“デート”と言う単語に反応してしまう。 

「どうかしましたか?」

 ひとり戸惑っている私を不思議そうに伺う高浜さんをみて、少し寂しくなる。

 彼の態度からわかった。

私が思っているほど“デート”という言葉は、彼にとってそれほど意味がないのだ。

 こんなことで、一喜一憂するなんて……。

 私はとっさに笑顔を作り、笑いかけた。
< 86 / 228 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop