これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「あなたは、いつも鈍いくせにどうしてそういうところは見逃してくれないんですかね……?」
 

まだ耳は赤いままだ。

 どうしてって……。

それはあなたを見ているからです。なんて言えるはずもなく。

 なんだかくすぐたいような、緩やかな雰囲気のふたりの間に料理が運ばれてきた。 

 よかった!これで料理の話に持っていける。

 こういう雰囲気の扱いは慣れていない。それは今まで経験したことないから。

 気まずいけれど心地よい。そんな気持ちは誰とでも味わえるわけじゃない。

「おいしいですか?」

「はい」

 笑顔でいることを止めることができない。

 それは食事のせいなのか、高浜さんのせいなのか……。

 きっと両方何だろうな。

 私の返事を聞いて笑顔になった高浜さんを見て、私もますます笑顔になってしまった。

 食事を終えて、デザートまで完食した。

「今まで食べた食事の中で一番おいしかったです」

「何を大袈裟なことを言ってるんですか」

 高浜さんはクスクスと笑っているが、本当のことなのに。

 食事は誰と食べるかが大切だ。きっと彼となら何を食べてもおいしいんだろうな。
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