これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「何かあったんですか?」

心配そうな彼女の顔を見て、はっと我に返った。

今、彼女に話をしても意味がない。それにこんな話は聞きたくないはずだ。

「いいえ。なんでもありません。ただ……」

俺の目をみて真剣に話を聞いてくれている。

「ただ自分にも相手にも嘘をついてはいけない、偽ってはいけないと。そういうことです」

自分でも何を話しているのだろうと思う。

 聞いている彼女も戸惑っただろう。けれどなぜだか彼女に話をしてしまった。

「嘘……ですか」

どこか苦しげな面持の彼女の顔をみてこんな話をするべきではなかったと思う。

「すみません。なんだか説教臭い話ですね。思っていたよりもワインに酔っていたみたいで……」

「あのっ……」

彼女が急に大きな声で俺の言葉を遮った。膝の上の子猫もおどろいて顔をあげた。

「あの、もし私が嘘をついていたらどう思いますか?」

突然の問いかけに驚いた。

彼女に嘘は似合わない。そう思った俺はとっさに答える。
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