只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
興奮気味な花音と何かを拒否ってる美桜の声が段々と近付いてくる。
「何を今さら……更衣室からここまでで十分もう晒しちゃってんじゃん?」
「それは!そう……だけど…」
「あー、はいはい!入ってちょーだいね~?」
「わわっ」
花音に押されたせいで、少しよろけながら美桜が教室に入ってきた。
「「「………………」」」
今まで騒がしかった教室内が途端に静寂に陥る。
全員が…美桜に釘付けになった。
今の時代、日本人といえど和服が似合う人間は限られる…
たが、美桜は余りにも自然にそれを着こなしていた。
漆黒の黒髪が、妖艶さを引き立たせる……
綺麗だ。
美桜と出会うまでは…
綺麗なんて言葉は単なるお世辞だと思っていた。
誰を見たってそう感じなかったから…