只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
「やっぱり……」
「何が?」
「衣装の似合わなさに引かれちゃってる!」
「…ないわ」
鋭い花音の突っ込みを聞いてか聞かずか…
当の本人は黙り込んだ事を変に捉えて、両手で自らの顔を覆った。
昔から思ってたけど…
美桜は自分に自信がなさ過ぎる。
いや、過剰なのも問題だけどよ。
「引いてない引いてない。寧ろ美桜ちゃんに見とれてたよー」
「うんうん。めっちゃ可愛い!」
同じ格好をしたクラスの女子が美桜の周りに集まっていく。
「か、かわ……っ!?いやいや、皆の方が断っ然可愛いって!」
ブンブンと両方の手を振りまくる美桜。
紡がれる言葉は媚びや社交辞令じゃなく本心であろう…
本気で『自分以外の』女子は可愛いと思ってるんだ。
周りの、自分に対する評価など気付かないままに……