只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
「あ……き、今日は劇の練習もないし…先に帰っていいかな?ちょっと予定もあるから…」
「そうなの?別に抜けるのは構わないよ~、ね?」
「おう。もう衣装合わせだけだかんな」
「なら良かった!それじゃ…また、明日ね?」
そう言って美桜は早々と鞄を手に取り、クラスの奴等に笑顔を向けた。
柔らかい微笑み。
だけど、無茶をしているような笑顔を……
「お疲れー」
「バイバーイ!」
周りから掛けられた声に返事をするように、手をひらひらと振って去っていく。
一瞬だけ見えた俯き気味の横顔が何処か苦しそうで…
泣いてるんじゃないのか。
そんな考えが脳裏に過った。
「疲れたから……俺も帰る」
ほっとけない。
あいつの事が気になって気になって……しょうがなかった。