只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!



文化祭準備で盛り上がる廊下を抜けていく。


和服のせいでやけにまじまじと見られたが、そんなのはどうでも良かった。


もしかして……と、自分の中の勘がある一点を指す。


三階の今は使われていない空き教室。


美桜のお気に入りの場所だけど、その事を誰も知らない…俺以外は。


前に放課後残ってる時に、偶然そこにいるのを見つけたんだ。


人の通りが全くと言っていい位ない…
騒がしい声が遠くに聞こえる、そんな所。


自分でも何でか分からないが、ゆっくりと静かに足を進める。


その部屋の中を覗くと…予想通りの奴が背中越しに立っていた。



何て、声掛けりゃいいんだ…



来てはみたものの、何を話すべきか悩む。


少したじろいでいると、何かを感じたのか美桜がこっちへ振り向いた。



「な、……なお、と……、ぇえーーっと……なんで此処に?」


「…来ちゃ悪いのかよ?」


「そ、そういう事じゃなくてですね?」



目をぱちくりさせながらキョドりまくる美桜。


まぁこんな所に来る奴なんて滅多に居ないからな。
驚くのも無理ないか…


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