只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
「く、首に手が……」
実際同じようにポーズを取ってみても、やっぱり見に覚えがないのか美桜は頭を捻った。
「全然、知らなかった…」
「まぁ癖なんて得てしてそんなモンだろ」
「「…………」」
その言葉を皮切りに、暫しの静寂が訪れた。
つい最近までは何とも思ってなかったこの時間が、今はどうも気まずい。
その原因はきっと、俺の美桜に対する想いが変わったから……
手を伸ばせば抱き締められる距離。
でも、そんな事は出来やしない…
「花音!…の和服姿…可愛かったね?」
「あ?…あー、まぁな」
そりゃ可愛いかそうじゃないかって言ったら可愛いとは思うが…
美桜のこの姿を見たらんなのぶっ飛んだし…
この間まで好きだった相手に対して失礼…というか薄情な奴だよな、俺は。
いつからこんなに軽い人間になっちまったんだか…
もし、今自分の気持ちを伝えたとしても、こいつに軽蔑されるだけで終わる、よな……絶対。