只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
後ろ?
前までどんなに近かろうと気にしてなかったのに…
「あぁ、悪い…」
疑問に思いながらも言われたように少し距離を開ける。
途端に美桜はホッとした顔を浮かべた。
その表情に、胸がモヤッとする。
「陽、眩しいね?」
「…そうだな」
段々と太陽は傾いてきていて、教室内に光が射し込む。
今日の日の色は特に赤い。
下を見れば結構な人数が下校する為に門をくぐっていた。
その中に、見覚えのある二人の姿…
はっきりと目にしたのに、俺は美桜に何も言わなかった。
まだ此処に…二人で居たくて…
「あの、ね…」
「ん?」
声を掛けられ美桜を見やると、伏し目がちに俺を見つめる瞳。
どこか潤んだその目に、吸い寄せられそうになる…