只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
いけないいけない。集中しなくちゃ…
まだ予行だってのに…緊張が半端ない!
震えてくる手をぎゅっと握り締めて…大きく深呼吸をした。
大和も直人もちゃんとやって退けたんだ…
私だって、負けらんないっ!
羽山先輩の台詞が終わると同時に照明が落ちる。
配役の人の移動や裏方さんの背景の変更でざわつく中、私も決められた立ち位置についた。
さっき王子が立っていたのと同じ、舞台の中央に…
静かな体育館には姫に関するアナウンスが流れている。
あ~、もうちょっとで私の出番だ!
そう思うと、言い知れない感情に包まれる。
きっと本番はこんなもんじゃ済まない。これ以上の衝撃であろうに……
ガコンッーーー
音と共にスポットライトが私に降り注ぐ。
光は思った以上に眩しくて、目を背けてしまいそう…
「ですから、前にも話したように婚約なんてしないと言ったでしょう?私には興味のない事よ…」
「ですがお嬢様っ!貴女もちゃんとしたお年頃…そろそろ目を向けて戴かなくては困ります」