只今、恋の修羅場に巻き込まれそうです!
直人がこっちに歩み寄ってきて、私との間がぐんと近くなる。
おかしい。
前まではこれぐらい何て事なかった。
寧ろもっと近付いてても意識すらしてなかった、それなのに…
見つめ合う目を逸らしてしまいそうで。
これ以上距離を詰められると自分が逃げ出しちゃいそうな…
そんな気しかしない!
「姫だとか王子なんてのは関係ない…好きだ」
台本の台詞合わせの時だって、普段の練習、予行演習の時と幾度となく言われた言葉。
そう。
これは、ただの演技だから…
分かってる。
この台詞に直人の気持ちが一ミリだって入ってないこと位…
そんなの、頭では理解してる。
でも収まってくれないんだ、この胸のドキドキが…
体温が上昇して…段々と、私の体が火照っていくのを感じる。
「私も……好き…」
口に出した途端に今度は頭がくらしてきた。